いってみっけ。海と山の、イイとやま。

清水がこんこんと湧き出す港町で、

富山湾の恵みを堪能

〜旬のオイシイとやま旅<黒部生地エリア編>〜

日本海に面した富山県。海沿いには古くから発展してきた港町がいくつも点在していますが、それぞれで獲れる魚も、見える景色も、育まれてきた文化も異なります。

そんな個性豊かな港町のことは、暮らしている人に聞くのがいちばん。今回は、生地温泉の老舗旅館「たなかや」の若女将・田中花星さんに、黒部生地(いくじ)エリアを案内していただきました。

「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾には、秋から冬に旬を迎える海の幸がたくさん。旬の味覚と、ここにしかない体験を求めて港町へ出かけてみませんか?

山だけではない、

港町としての黒部の魅力

「黒部」といえば、黒部峡谷や宇奈月温泉が有名。そのため黒部は山の中、と思われている方が多いかもしれませんが、北アルプスの山々から流れ下る黒部川の水が地下水となり、生地のあちこちで清らかな湧水となって地表に出てくる「水」の恵みが豊かな町なのです。

黒部市の海辺にあたる生地地区では、その湧水を「清水(しょうず)」と呼び、昔から水とともに暮らしてきました。

名水が湧く港町の

静かな一軒宿

「たなかや」のまわりをぐるりと囲む約5000坪の広大な庭園。

そんな名水の町に、今回の案内人である田中花星(かほし)さんが若女将をつとめる旅館「たなかや」はあります。旅の楽しみは、なんといってもお食事。富山湾でと獲れたキトキト(=富山弁で新鮮)な魚を使用した会席料理は、料理長をつとめる5代目のご主人が腕を振るいます。

黒部は水が美味しいから、そこで獲れる魚も、料理も美味しくなる。

なかでもお食事の最後に提供される「越の浜汁」は、生地の漁師たちに親しまれている郷土料理。「たなかや」では焼いたブリで出汁をとっていますが、各家庭で使う魚は異なるんだとか。田中さんは「宿で提供していくことで、郷土料理を残していきたい」と話します。

野菜、豆腐、餅を入れた「越の浜汁」は、例えるならお雑煮のような一品。

食以外にも見どころはいっぱい。戦国武将・上杉謙信が発見し、病を癒やしたという言い伝えのある温泉に浸かれば、身も心もほぐされます。また秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々にうつろう庭の景色を眺めているだけで、都会の喧騒を忘れられます。

湯に浸かれば、目の前に美しい竹林が広がる。

千葉県出身の田中さんは、生地に住んで5年。「旅行に来てくださった方には、有名観光地だけじゃなく、ぜひ生地の日常をみてもらえたら」と話します。とくにお気に入りのスポットは、「たなかや」から歩いて5分ほどの場所にある海辺の歩行者専用のみち。

車両は通れない歩行者専用のみち。落ち着いてゆったりと散策を楽しめる。 撮影:田中花星

この歩行者専用のみちを歩いてみれば、健康のために歩いているおじいちゃんおばあちゃんや、釣りをしている人など、生地の日常が垣間見えます。観光地のような派手さはありませんが、昔から変わらない港町の風景が、県外出身者である田中さんから見て新鮮なんだとか。

引き続き田中さんに、生地の旅を充実させてくれるスポットを教えていただきました。

水とともに暮らす

生地の名水めぐり

池のまわりの散策も楽しい「前名寺の清水」。 撮影:田中花星

生地地区には20カ所の湧水スポットがあります。マップを片手に、ぜひ清水めぐりをしてみてほしい」と田中さん。

なかでも「前名寺の清水」は、生地でもっとも古い清水のひとつ。お寺の裏庭にある小さな池から、こんこんと清水が湧き出ています。

地元の人たちが飲み水、炊事、洗濯などで使う「清水庵の清水」。 撮影:田中花星

昔から生活用水として親しまれている「清水庵の清水」は、湧出量が生地でもっとも多く、1分間に約600リットル。鉄分が少なくまろやかな味わいが特長なので、ぜひ清水を手ですくって飲んでみてください。

とれたて、できたて

旬の魚を楽しむ「魚の駅」

黒部漁港のすぐそばにある「魚の駅 生地」。

「魚の駅 生地」は名前の通り、黒部をはじめとした富山湾の美味しい魚をさまざまに楽しめるスポット。「とれたて館」では近くの漁港であがった新鮮な魚や加工品を手に入れることができ、「できたて館」では鮨や浜焼きがいただけます。

イカ墨を発酵させたイカの塩辛のような富山の郷土料理「黒作り」や鮮度のよい地魚を使用した干物などもお土産に人気。地元の店員さんのアットホームな接客にも心が和みます。

生地の清水と塩だけでつくられた干物セット。黒部の名水仕込みで、鮮類は時期により変わる。(大漁セット/5400円)

漁業の歴史を感じるカフェで

まちあるき後のひと休み

古い漁具倉庫の一部を改装した「北洋の館」。

田中さんがちょっと休憩したいときに訪れるというのが、ギャラリー&カフェ「北洋の館」。100年以上の歴史ある漁業会社・丸中水産が運営していて、ショップでは自社の漁船で獲ったサンマの加工品などを販売。かつて黒部に北洋漁業の歴史があったことを伝えています。

シフォンケーキとコーヒーのセット(600円)。カフェメニューは季節ごとに変わる。

ギャラリーの展示は月替わりで、壁がさまざまなアートで彩られます。ドリンク一杯からしっかりお食事まで、どの時間帯も訪れやすいカフェは、町歩き後のひと休みにぴったり。冬は薪ストーブの火をながめながら、思い思いの時間を過ごせます。

マジックアワーに

照らされる灯台

灯台マニアも多く訪れるという「生地鼻灯台」。 撮影:田中花星

日が暮れる頃には、「生地鼻(いくじばな)灯台」を見に行きましょう。本州の内陸ではめずらしい白黒のストライプの灯台が、港町らしい風情を醸し出しています。

運がよければ青とピンクが混じりあう、マジックアワーを体験することができるかもしれません。まるで異空間に来たかのような美しい景色を、旅の記念として目に焼き付けてくださいね。

※2021年9月21日時点の情報です。新型コロナウイルス感染症の影響により、営業日や営業時間の変更などが想定されます。最新の情報は公式サイトをご覧いただくか、施設などに直接お問い合わせください。

※価格は特記事項のない限り税込みで表記しております。

田中 花星

「たなかや」若女将。千葉県出身。大学のゼミで訪れたことがきっかけで、卒業後は能登に移住。2016年、富山県黒部市の旅館「たなかや」に嫁ぎ、現在は若女将として主に広報を担当。ホームページやSNSを通して、自ら撮影した写真とともに旅館、そして黒部の魅力を発信している。

たなかや

住所:

黒部市生地吉田新230

料金:

1泊2食付き14,300円〜 ※税込

Tel:

0765-56-8003

https://www.ikujionsen.com/

魚の駅「生地」

営業時間:

[とれたて館]9:00~18:00、[できたて館]航海灯11:00~15:00、番家17:00~22:00

定休日:

水曜

住所:

黒部市生地中区265

Tel:

0765-57-0192(魚の駅「生地」とれたて館)

http://www.jf-kurobe.jp/sakananoeki-ikuji/

清水めぐり

Tel:

0765-54-2111(代)(黒部市役所商工観光課)

http://ikuji-machiaruki-guide.com/ikuji-kanko/syouzu-meguri/

北洋の館

営業時間:

10:00〜17:00

定休日:

火曜

住所:

黒部市生地芦崎字下浦330

Tel:

0765-57-5055

https://www.marunaka-suisan.jp/

生地鼻灯台

住所:

黒部市生地吉田9602

Tel:

0765-54-2111(代)(黒部市)